The Strokes – Reality Awaits ~変わり続ける、25年目のストロークス

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2001年発表のデビューアルバム『IS THIS IT』は、当時それまでの装飾過多なロックやラップ・メタル全盛の音楽シーンに、極限まで削ぎ落としたミニマルな音とクールな佇まいで登場し、2000年代以降のロックの方向性を決定づけた衝撃作。以降、アルバムごとに表情を変えつつキャリアを重ね、本作は7作目のオリジナルアルバムとなる。

彼らの新作の第一印象は大抵「変」だ。3枚目以降は大体そうだ。前作もそうだったが、聴いていくうちに自分の感覚と世の中のムードがだんだんと彼らの表現の感触に合っていくかのように、違和感がなくなってくる。2020年の前作『The New Abnormal』を今となっては異色作という人はあまりいなく、むしろ現代の表現にフィットして、“The Adults Are Talking”はバイラルヒットまで飛ばしている。端的に言えば「時代を先取りしている」という話になるのだが、それでも流行の最先端のような感じは皆無で、むしろ新しいんだが古臭いんだかよくわからない、でも懐古ではなく絶妙なセンスで成立している感がある。本作も同様に変な作品でありながら、同時にいつになくシリアスで重々しい空気をまとっているように感じる。

コスタリカでセッションしながら作り込んだという話からか、少しラテンの雰囲気をまとっているようにも感じる。とはいえ、いわゆる陽気な感じというよりは、その熱の揺らぎのようなものが、“Liar’s Remorse”や“The Fruits of Conquest”などのトラックに漂っている。

このシリアスさと南米的な空気感から、どうしても思い起こされるのが、コーチェラでの政治的メッセージを前面に押し出したパフォーマンスだ。これが今の彼らのモードなのだろう。
コーチェラのパフォーマンスについてはこちらの記事で触れている

前作における“Bad Decisions”のような、分かりやすいストロークス印の軽快なナンバーはない。一番ポップな“Going Shopping”も、歪で異様な明るさだ。「ショッピング」は資本主義そのものを指していて、そこに皮肉を込めたナンバーなのではないか、などと想像してしまう。カウボーイのアートワークも、搾取と支配、さらにはかつての「強いアメリカ」の力強さを象徴しているようにも見え、それが今や崩壊しつつあるということまで含めていると考えると、実に示唆的だ。

多くの楽曲でハイハットが細かく刻まれ、シンセのようなギターや、打ち込みのような質感のリズムなど、近未来なのか古臭いんだかよくわからない音像が広がっている。その中でも、どの楽曲でも圧倒的なのはジュリアンの歌唱の存在感だ。“Falling Out of Love”での生々しさ、“Dine N’Dash”や“Lonely in the Future”でエモーショナルに歌い上げるヴォーカルには切実さがあると共に、それが本作の凄みに大きく寄与していると感じる。さらにそれは、Geeseなど現代のロック・シーンを牽引するバンドとの共通項のであるようにも感じられる。

初期と現在を単純に比べると驚くほどの変化であり、ネガティブに感じる人もいるかもしれない。だが、おそらく1stと同じ作風でずっと今まで来ていたとしたら、2026年も世界のフェスでヘッドライナー筆頭の地位にはいないはずだ。

誰もが真似をしたくなったロックンロール・リヴァイバルの象徴だったバンドは、25年経った今でも、過去の自分たちを再現する「リヴァイバル」には収まらない。むしろ、いつだって「今はちょっと変だ」と思わせながら、その先で時代の感覚と結びついていく。The Strokesは、そんな形で今も時代の先頭を走り続けている、唯一無二の存在なのだと思う。

[favorite tracks]
M3:Lonely in the Future
M5:Going to Babble On
M9:Tyrants of the Mellow Moon

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