Arlo Parks – Ambiguous Desire ~曖昧な欲望、その解放

レビュー
ロンドン出身のシンガーソングライター。現在はLAを拠点に活動し、2度のグラミー賞ノミネート、マーキュリー・プライズ/ブリット・アワードの受賞歴を誇る。本作は2023年「My Soft Machine」以来の3作目のアルバムとなる。

以前のようなギター主体のインディ・ポップ色は後退しており、最初は少し戸惑った。しかし聴き進めるうちに、これこそが今のArlo Parksのモードであり描きたかった世界なのだと腑に落ちる。

本作を満たしているのは、UKガラージやブレイクビーツ、テクノの要素を取り込んだダンス・ミュージックだ。とはいえ、いわゆるアッパーなパーティ・アルバムではない。クラブ由来の高揚感をまといながらも、彼女らしい繊細さや親密さは失われていない。

ブレイクビートが心地よく跳ねる「Get Go」、Samphaとのデュエットが美しい「Senses」、しなやかなベースラインが多幸感を運ぶ「HEAVEN」などハイライトは多い。曲ごとに異なるビートの表情が用意されており、アルバムを通して聴き手を飽きさせない。

個人的なフェイバリットは「Nightswimming」。抑制されたボーカルとピアノの和音が織りなす緊張感が絶妙で、静かな高揚がじわじわと身体を包み込む。ダンスフロアの熱気の中でこそ真価を発揮しそうな一曲だ。

最終曲「Floette」では陽だまりのように穏やかな導入から、終盤に向かって激しいドラムが加わり、楽曲は大きく開かれていく。これまでの作品ではあまり見られなかったカタルシスがここにはあり、クラブカルチャーとの出会いを経た彼女の新たな一面を鮮やかに印象付ける。『Ambiguous Desire』というタイトルに込められた揺らぎや欲望が、まさに解放される瞬間のようだ。

[favorite tracks]
M5:Heaven
M8:Nightswimming

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