アメリカ・メリーランド州出身のリンジー・ジョーダンによるソロ・プロジェクト。
前作「Valentine」から5年、友人でもあるMommaのアーロン・コバヤシ・リッチをプロデューサーに迎えて制作された3作目のアリジナルアルバム
第一印象は「物足りない」と思った。前作にあったようなオルタナ的なザラつきが後退し、優しい感触の曲調やストリングセクションが施されたきらびやかで装飾的なアレンジも残念に感じてしまった。
後で知ったが、声帯手術を経て明らかに声がクリーンになっている。前作でのしゃがれた声は大きな魅力と思っていたが、本作の声が現在の彼女にとってはより自然なのだろう。そう思うとその声は優しさと共に悲しみや痛みもにじみ出ているように感じる。
何度か繰り返し聞いて耳がなじみ、先入観を外して接するうちに、優しい感触の曲調は明らかに彼女の声の質感や表現に合っているし、むしろ本作のような方向性が、より彼女の表現の魅力を引き立てるのではとすら思うようになった。思えば最初のブレイク曲「Pristine」もどちらかと言えばソフトな印象だ。
その視点で聴き進めると、アルバム後半で印象はさらに更新される。疾走感あふれる「Butterfly」の終盤の曲転換や、続く「Nowhere」「Hell」といった楽曲には、前作にあったようなざらついたオルタナ的な質感は確かに残ってる事に気が付く。すると前半の開けた表現も考えられたバランス感で、これが本作の最適解と感じられる。
メロディーの広がりや軽やかなギターのストローク、そして何より彼女の素晴らしい歌を堪能出来る一枚だ。
でもやっぱり後半がいいよなあ。
[favorite tracks]
M2:My Maker
M8:Nowhere
M9:Hell

