Cardinals – Masquerade ~哀愁とダークロマン

レビュー
アイルランド南部の都市コーク出身。ヴォーカルのユアンとアコーディオン奏者のフィンからなるマニング兄弟、その他 従兄弟と元同級生からなる6人組バンド。

アイルランド出身の若きバンド、Cardinalsによる1stアルバム『Masquerade』は、アコーディオンの哀愁を帯びた響きを軸に、アイリッシュ・トラッドを血肉化したロックンロールを鳴らす一枚だ。と書くと、どうしてもThe Poguesが想起されるが、その肌触りはむしろThe Libertines(あるいはBabyshambles)に近く、ラフで荒削り、それでいて刹那的なロマンティシズムが全編を貫いている。

スローテンポな楽曲が多く悲しみや喪失感をにじませる表現が基調にある一方で、暴力や悲劇に対する憤りを叩きつけるような激しい曲も配され、感情の振れ幅は大きい。初期リリース曲の段階では方向性が定まりきっていない印象もあったが、本作ではトラッドへ方向性を振ったことで表現の焦点が明確になった。1st EPと聴き比べれば、無邪気さを残していた初期衝動のようなものが、より濃密でダークな質感へと深化しているのが分かる。

兄弟や従兄弟、友人で構成された編成も特徴で、血縁と友情に裏打ちされた結束が、荒々しさの奥にある確かな意志と説得力を生み出している。

熱を帯び続けるアイルランドのロック・シーンから生まれた、またひとつの傑作ロックンロール・アルバムだ。

[favorite tracks]
M4:I Like You
M7:Barbed Wire

2026年2月リリース作品


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